2023.08.18
コラム
五十肩⁉原因や対策を解説【知っておいてほしい知識】
こんにちは。
愛知県安城市にある松井整形外科です。
今回は五十肩について書いていますので、ご参考になれば幸いです。
✓読者の悩み
・そもそも五十肩って何?
・五十肩はどうやって治療する?
・五十肩になったら何に気を付ける?
このようなお悩み、疑問にお答えします。
✓本記事の内容
1.五十肩とはこういうもの
2.五十肩の治療方針
3.五十肩に対する対策
この記事を書いている僕は、リハビリテーションの国家資格である作業療法士として15年の経験を持ち、現在も毎日リハビリテーションを実施しています。
こういった僕が、解説していきます。
1.五十肩とはこういうもの
五十肩は、五十歳前後に、肩を中心に痛みが生じて、時には腕までその痛みが広がります。四十肩とも言われています。五十肩という表現は古くから使われてきた言葉ですが、現在では一般的に肩関節周囲炎と呼ばれる状態を五十肩と呼んでいます。
詳しい説明はこちらです。
中年以降、特に50歳代に多くみられ、その病態は多彩です。関節を構成する骨、軟骨、靱帯や腱などが老化して肩関節の周囲に組織に炎症が起きることが主な原因と考えられています。肩関節の動きをよくする袋(肩峰下滑液包)や関節を包む袋(関節包)が癒着するとさらに動きが悪くなります(拘縮または凍結肩)。
症状としては、頭を洗ったり、着替えの時など、基本腕を動かす時に痛みが出ます。痛みを気にして、無意識に腕を動かす頻度が減ることで肩関節の動きが悪くなってしまうこともあります。状態によっては、就寝時など、動かさなくても肩に痛みを感じることもあります。
2.五十肩の治療方針
基本的な治療方針に関しては、より正確な説明であるべきだと思うのでこちらをどうぞ。
診断
圧痛の部位や動きの状態などをみて診断します。肩関節におこる痛みには、いわいる五十肩である肩関節の関節包や滑液包(肩峰下滑液包を含む)の炎症のほかに、上腕二頭筋長頭腱炎、石灰沈着性腱板炎、肩腱板断裂などがあります。これらは、X線(レントゲン)撮影、関節造影検査、MRI、超音波検査などで区別します。予防と治療
自然に治ることもありますが、放置すると日常生活が不自由になるばかりでなく、関節が癒着して動かなくなることもあります。痛みが強い急性期には、三角巾・アームスリングなどで安静を計り、消炎鎮痛剤の内服、注射などが有効です。急性期を過ぎたら、温熱療法(ホットパック、入浴など)や運動療法(拘縮予防や筋肉の強化)などのリハビリを行います。これらの方法で改善しない場合は、手術(関節鏡など)を勧めることもあります。
腰や膝でも同じですが、僕が普段から感じていることは、痛みなど違和感を感じても、テレビや動画サービスなどの情報から自己流で運動やストレッチを行っている方が多いように思います。ご自身で工夫して取り組むこと自体は、とても重要なことです。しかし、タイミングや方法を間違ってしまうと、かえって症状を悪化させてしまうこともあります。
痛みや関節の動きが制限されるなどの、普段はない症状を感じたら、まずは医療機関に相談することをお勧めします。
当院では肩の痛みに対してレントゲン、MRI、超音波検査(エコー)にて診断し、症状に応じた治療(投薬、関節内注射、リハビリテーション)の提案を行っています。「最近なんだか肩が痛い」など違和感を感じる事があれば、いつでもサポートさせていただきます。
3.五十肩に対する対策
これまでお伝えしたとおり、違和感や痛みを感じたら、まずは医療機関へ相談されることが基本です。特に運動やストレッチを行う場合には、それが大原則になります。
ですが、普段生活する中でもちょっとした対策、工夫が行えることもあるので一部ご紹介します。
「肩への負担を軽減する」
そもそも肩には腕の重みが最初からかかっています。男性では約6kg程度、女性では約5kg程度、それぞれ左右の肩に負担として腕の重みが乗っている状態なので、更なる必要以上の重さや負担をかけるべきではないのです。
五十肩にはある程度段階があります。特に痛み始めの炎症期では、肩への負担はなるべく避ける必要があります。
例えば
・痛む肩の方で、カバンを肘や手で持って出かける
・重い買い物袋を持つ
・高い棚にある重い食器を取る
・揺れる電車やバスの中で手すりをもって立っている
これらは腕の重さ以上の、ひっぱられる力が負担として肩にかかってしまい、状態を悪化させる可能性があります。
■基本は、極力肩へ負担をかけないこと
・カバンはリュックもしくは肩掛けカバンにする
・買い物の時はなるべく買い物袋を手でぶら下げず、駐車場までショッピングカートを使う
・重めの食器は低い位置に配置変更する
・電車やバスではなるべく座るもしくは痛みのない手で手すりを持つ
こういった工夫が以外と効果的な対策になります。良かったら参考にしてみてください。
「保温」
五十肩は、肩を冷やすと痛みが強くなったり、さらに関節の動きを硬くしてしまうことがあります。対策の基本として、肩周辺の血行を良くするために、肩の保温が大切です。
■保温の対策例と注意
・入浴は効果的(ぬるめのお湯に、ゆっくりとつかる)
・サポーターなどで肩周辺を保温する
・エアコンや扇風機の風が直接肩に当たらないように注意する
・保温効果を高めるためにカイロを使用する場合もあるが、低温やけどの危険もあり長時間の使用は避ける
炎症が強く、鋭い痛みが伴う場合には逆効果の場合もあります。症状が強い際には、医師の指示により、状態に応じた正しい治療を受けましょう。
「運動」
運動やストレッチは、五十肩の改善には大変重要な対策です。繰り返しになりますが、運動やストレッチを行う場合には、段階(炎症気、筋拘縮期、回復期)に応じた正しい治療方法を行う必要があります。そのため、症状から段階を適切に把握する必要があります。それぞれの段階で、運動の目的が異なるということです。
■炎症期
必要以上に肩をこわばらせないことが大切な時期。ひどい痛みが治まってから、まずは簡単な運動療法から行います。リハビリテーション専門職など、専門化の指導が必要な段階です。
■筋拘縮期
肩周辺の硬さを取り除いていく段階。この時期は、無理をすると痛みをぶり返すこともあるので、慎重に少しずつ動かす範囲を広げていきます。この時期もリハビリテーション専門職など、専門化の指導が必要な段階と言えます。
■回復期
この段階では速やかな回復を図ります。日常生活の方法は人それぞれ。生活様式に応じたリスク回避の方法や、必要な筋肉の強化など、専門家や医師から指導を受け、積極的に自主トレーニングが取り組める時期です。
これらは医師の指示のもとで、正しく行われるべき治療の流れです。対策や工夫はあくまで治療の一環として、正しい方法を取るように心がけください。
まとめ
五十肩とは、一般的に肩関節周囲炎と呼ばれる状態のこと。言葉の通り、肩周囲の筋肉などの組織が何らかの理由で炎症を起こしている状態で、痛みで腕が挙がらないなどの症状が出てきてしまいます。
ご自身での対策として、肩への負担を軽減することや、冷やさない工夫は行えます。ですが、それらも基本は治療の一環として行っていきます。ご自身で工夫して取り組むこと自体はとても重要なことですが、タイミングや方法を間違ってしまうと、かえって症状を悪化させてしまうこともあります。普段はない違和感を感じたら、まずは医療機関での相談からだと思います。
当院としては、重症化する前になるべく早く対策をしてほしいと常々思っています。今の症状にお困りであれば、いつでもご相談ください。『早期改善と予防のために、「今」のあなたに必要な医療を提案』をモットーに、地域の皆様のサポートをさせていただきます。
smile and support by 松井整形外科