2024.09.02
コラム
変形性膝関節症とは?
こんにちは。
愛知県安城市の松井整形外科です。今回は、「変形性膝関節症」についてです。
変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減り、関節の変形や痛みを引き起こす疾患です。特に中高年に多く見られ、膝の痛みや運動制限が生活の質を低下させる原因となります。
今回は改めて症状、原因、対策、日常生活での注意点について解説します。
この記事を書いている筆者は、リハビリテーション専門職として歴16年で、現在も毎日リハビリテーションを実施しています。今回もこういった筆者が解説していきます。
変形性膝関節症とは?
症状
変形性膝関節症は、膝の関節軟骨が徐々に摩耗することで、以下のような具体的な症状が段階的に現れます。
動作時の痛み
初期段階では、膝を動かしたときに痛みを感じることが特徴です。特に立ち上がる、座る、歩き始めるといった動作時に痛みが生じます。動作を続けるうちに和らぐことがありますが、進行すると持続的な痛みに発展することがあります。
膝の腫れと熱感
関節内に炎症が発生すると、膝が腫れて熱感を持つことがあります。これは滑膜(関節を包む膜)が炎症を起こし、関節液が増えることによって起こります。腫れが続くと膝が硬く感じられ、可動域が制限されることもあります。
関節のこわばり
特に朝起きたときや長時間同じ姿勢でいた後に、膝がこわばり、動かしにくくなることがあります。これは、軟骨の摩耗による関節内の変化や、関節液の流動性の低下が原因と考えられます。
関節の変形
状態が進行すると、膝関節の変形が目立つようになります。軟骨の摩耗によって関節の隙間が狭くなり、膝がO脚やX脚になることがあります。この変形は、歩行時にバランスを崩し、転倒のリスクを高める原因にもなります。
可動域の制限
膝の曲げ伸ばしが困難になり、日常動作が制限されます。階段の昇り降りが難しくなり、正座やしゃがむことができなくなることがあります。これは、軟骨がすり減り、関節内で骨が直接ぶつかることで痛みとともに動きが制限されることが原因と考えられます。
安静時の痛み
更に症状が進行すると、動作中だけでなく、安静時にも痛みが感じられるようになります。これは、関節内の炎症が慢性化し、神経が過敏になるためです。夜間に痛みが強くなり、睡眠を妨げることもあります。
原因
変形性膝関節症の発症には複数の要因が絡んでおり、これらが複合的に影響して進行します。
加齢による軟骨の劣化
膝関節の軟骨は、年齢とともに水分を失い、弾力性が低下します。軟骨が劣化すると、摩耗しやすくなり、関節のクッション機能が低下します。この結果、骨同士が直接接触しやすくなり、痛みや炎症が生じます。
過体重による負担増加
体重が増えると、歩行や階段の昇り降りなどの動作時に膝関節にかかる負担が増加します。特に、体重の3~5倍の力が膝にかかると言われており、肥満が進行すると軟骨の摩耗が加速します。
関節の過度な使用や酷使
長期間にわたって膝に過剰な負荷をかける運動や労働を続けると、関節軟骨が早期に摩耗するリスクが高まります。例えば、スポーツ選手や重労働に従事する人々は、膝にかかる負荷が大きく、変形性膝関節症の発症リスクが高いです。
外傷の影響
膝関節に大きな負傷を負った場合、特に半月板や靭帯の損傷があると、関節の安定性が失われ、軟骨への負担が増加します。外傷後に関節の変形が進行し、変形性膝関節症を発症することがあります。
ホルモンの影響
女性は閉経後、エストロゲンというホルモンの分泌が減少します。エストロゲンは関節の健康を保つ働きがあるため、その減少により軟骨が劣化しやすくなり、変形性膝関節症のリスクが高まります。
更に詳しく知りたい方は下記にご紹介する『日本整形外科学会』のホームぺージより「変形性膝関節症」をご確認ください。
⇒日本整形外科学会 「変形性膝関節症」※クリック
対策
変形性膝関節症の進行を遅らせ、症状を緩和するためには、早期の対策が重要です。
体重管理
適切な体重を維持することで、膝への負担を軽減できます。減量により、症状が軽減することが多いです。
適度な運動
膝に無理のない範囲での運動が推奨されます。特に水泳やウォーキング、サイクリングなど、関節に優しい運動が有効です。筋力トレーニングも膝周りの筋肉を強化し、関節の安定性を向上させます。
今回は自宅でも行える筋力トレーニングの方法を2つご紹介します。他の方法も知りたい方は過去コラムからチェックしてみてください。
⇒過去コラム【動画】膝の痛み リハビリ・運動コメ※クリック
温熱療法
温めることで血行が改善され、痛みが緩和されます。温湿布や入浴などで膝を温めることが効果的です。温熱療法として行う場合は、整形外科の医師やリハビリテーション専門職に相談の上、実施しするようにしましょう。
サポーターの使用
膝に負担がかかる動作をするときに、膝サポーターを使用することで、関節の安定性を高め、痛みを軽減できます。
医療機関での治療
症状が進行している場合、リハビリテーションやお薬の処方、ヒアルロン酸注射などの治療が必要です。重症の場合、手術が検討されることもあります。
日頃の注意点
変形性膝関節症を予防し、症状を軽減するためには、日常生活での注意・工夫が重要です。
過度な膝の使用を避ける
長時間の立ち仕事や重い荷物を運ぶことは、膝への負担を増加させます。適度に休憩を取り、膝を保護するよう心がけましょう。
適切な靴選び
クッション性のある靴を選ぶことで、歩行時の衝撃を和らげることができます。特に膝に負担をかけにくいウォーキングシューズなどの靴を選ぶことをお勧めします。
関節に優しい運動の習慣化
膝に負担をかけず、関節を適度に動かす運動を日常的に取り入れましょう。ストレッチやヨガも柔軟性を高め、関節の動きを良くするのにお勧めです。
簡単なストレッチ方法も下記にご紹介しておきますのでご参考にされてください。
栄養バランスの取れた食事
関節の健康を保つために、コラーゲンやビタミンC、オメガ3脂肪酸を含む食品を積極的に摂ることがお勧め。特に青魚や野菜、果物をバランスよく摂取することが重要です。
定期的な検診
早期発見・早期治療が変形性膝関節症の進行を遅らせるカギです。特に膝に違和感を感じたら、早めに整形外科など医療機関を受診することが大切です。
当院では
ちなみに、当院でも診察やレントゲン等で状態を評価し、正しい診断が出来るよう努めています。症状や状態に応じて、MRIやエコーも活用しながら、症状の原因究明を行っています。
治療においても、お薬の処方、関節注射、リハビリテーションでの徒手療法や物理療法などその人、その症状に応じた治療プログラムを提案しています。もちろん、運動の指導もリハビリテーション専門職が行っています。
※当院のリハビリテーションについてはこちらをチェック
※当院の診療案内はこちらをチェック
まとめ
変形性膝関節症は、膝の軟骨が摩耗することで引き起こされる疾患であり、進行すると生活の質を大きく低下させます。
早期の対策と日常生活での注意が、症状の進行を抑え、膝の健康を保つためには不可欠です。適切な体重管理、適度な運動、栄養バランスの取れた食事など、日常のケアを怠らないよう心がけましょう。
smile and support by松井整形外科