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2024.07.08

コラム

【水中ウォーキングの効果】運動学と解剖学の視点からの解説

こんにちは。
愛知県安城市の松井整形外科です。今回は「水中ウォーキングの効果」について解説しています。

水中ウォーキングは、陸上で行うウォーキングとは異なる特性を持つ運動方法です。特に、筋肉強化、関節への負担軽減、持久力向上、心肺機能の改善など、全身の健康に寄与する効果が高く評価されています。

本コラムでは、運動学と解剖学の視点から水中ウォーキングの具体的な効果について解説します。

本日の内容
・具体的な方法
・期待できる効果
・まとめ

 

この記事を書いている筆者は、リハビリテーションの国家資格である作業療法士として15年の経験を持ち、現在も毎日リハビリテーションを実施しています。今回もこういった筆者が解説していきます。

具体的な方法

頻度

水中ウォーキングの効果を最大限に引き出すためには、週に3回以上の頻度で行うことが推奨されます。定期的に、できるだけ継続的に行うことが大切です。

時間

1回のセッションは30~40分を目安に行うと効果的です。

長すぎる時間は、筋肉の減少翌日の疲労感に影響する可能性があるため、適切な時間で切り上げることも重要です。

準備運動

深部体温を高めるウォーミングアップや、関節可動域を確保するための動的ストレッチ(ラジオ体操など)からスタートしましょう。

また、水中ウォーキング後にはクールダウンとしてストレッチを行うことで、怪我の予防や筋肉疲労の回復を促進します。

強度

強度は個々の体力レベルに応じて調整することが重要です。最初は低強度から始め、慣れてきたら徐々に強度を上げていくと良いでしょう。例えば、歩く速度を上げる、膝を高く上げるなどの方法で強度を調整できます。

フォーム

正しいフォームで行うことも重要です。背筋を伸ばし、腹筋を引き締め、膝を適度に曲げて歩くことで、効果的な運動が行えます。

特に、背中を丸めずに胸を張り、頭をまっすぐに保つことがポイントです。

期待できる効果

 筋肉強化

抵抗運動としての効果

水中ウォーキングは、全身の筋肉を効果的に鍛えることができます。水中では水の抵抗が働くため、陸上での運動よりも多くのエネルギーを消費します。

前進する際にはこの抵抗に逆らう力が必要です。これにより、特に下半身の筋肉が強化されます。

日常生活での立つ動作や、歩く動作に必要不可欠な、大腿四頭筋ハムストリングス(太もも裏)、ふくらはぎの腓腹筋ヒラメ筋といった重要な筋肉を鍛えることが可能です。

全身運動としての効果

上半身の動きも取り入れることで、肩や腕、背中の筋肉も鍛えられます。

腕を振りながらのウォーキングや、クロール時の腕の動きを組み合わせる工夫があります。

これにより、背中の大きな筋肉である広背筋や肩周りの三角筋、腕周りの上腕二頭筋や上腕三頭筋などの筋肉がより刺激されます。

 関節への負担軽減

浮力の効果

水中ウォーキングの最大の特徴は、関節への負担が少ないこと。陸上での運動に比べて関節や骨にかかる圧力が大幅に減少します。

特に膝や腰、足首などの関節に問題を抱える方にとっては大きなメリットとなります。

運動範囲の拡大

水中では関節の可動域が広がりやすくなります。水の浮力と抵抗により、関節を通常以上に動かすことができるため、関節の柔軟性に寄与します。

運動後の痛みや怪我のリスクが軽減され、リハビリテーションとしても有効です。
※リハビリテーションとしての取り組みにおいては、整形外科の専門医やリハビリテーション専門職の指示やアドバイスを受けてから取り組むようにしましょう。

 持久力向上

有酸素運動としての効果

水中ウォーキングは優れた有酸素運動です。水中でのウォーキングは、一定の強度で長時間続けることができ、持久力の向上に繋がります。

水中では心拍数が陸上よりも低くなる傾向があるため、体力に自信がない方でも比較的負担の少なく、取り組みやすい運動になります。

エネルギー消費の増加

水中でのエネルギー消費は陸上よりも高くなります。水の抵抗により全身的な運動に近いため、陸上と同じ動きをするにも、より多くのカロリー消費が得られます。

持久力の向上に加えて体脂肪の減少にも役立ちます。

 心肺機能の改善

呼吸筋の強化

水泳と組み合わせることで心肺機能の改善にも寄与します。

水中では呼吸が制限されるため、自然と呼吸筋(横隔膜や肋間筋など)が強化されます。これにより、肺活量が増加し、酸素の取り込み効率が向上が期待できます。

心臓の負担軽減

水の圧力による静水圧効果が心臓の負担を軽減します。静水圧により血液が心臓に戻りやすくなる効果もあります。

注意点としては、心臓への負担を考慮すると水深は胸辺りより下が望ましいです。必ずその日の調子や状態を考慮し、運動量や実施有無の決定をするようにしてください。
※心疾患の既往があり運動への不安がある方は、必ず主治医の意見を仰いだ上で取り組むようにしましょう。運動が逆効果になることもありますので注意が必要です。

 

まとめ

水中ウォーキングは、筋肉強化、関節への負担軽減、持久力向上、心肺機能の改善といった多くの効果をもたらす、非常に優れた運動方法の一つです。

特に、関節や筋肉に負担をかけずに全身を効果的に鍛えることができるため、老若男女を問わず多くの人々に適しています。

定期的に水中ウォーキングを取り入れることで、健康な体を維持し、日常生活をよりアクティブに過ごしましょう。

 

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