この記事を書いている筆者は、リハビリテーションの国家資格である作業療法士として15年の経験を持ち、現在も毎日リハビリテーションを実施しています。今回もこういった筆者が解説していきます。
◎捻挫とは?
捻挫は関節を支える靭帯が過度に引き伸ばされたり、断裂したりする怪我のことを指します。多くの人が一度は経験する可能性が高い怪我であり、特にスポーツや日常のちょっとした動作で発生しやすいです。
日本整形外科学会のホームページでは下記のように解説されています。
※
関節に力が加わっておこるケガのうち、骨折や脱臼を除いたもの、つまりX線(レントゲン)で異常がない関節のケガは捻挫という診断になります。
したがって捻挫とはX線でうつらない部分のケガ、ということになります。
具体的には靭帯や腱というような軟部組織といわれるものや、軟骨(骨の表面を覆う関節軟骨、間隙にはさまっているクッションである半月板や関節唇といわれる部分)のケガです。
※日本整形外科学会/一般の方へ/症状・病気をしらべる/「捻挫」 症状 2024.6.17
主な原因
捻挫は以下のような動作によって引き起こされることが多いです。
足首を内側または外側にひねる
急に方向転換をする
高いところから飛び降りる
不安定な地面を歩く
◎捻挫の症状
捻挫の症状は、怪我の程度によって異なります。一般的には以下のような症状が見られます。
1 軽度の捻挫
軽い痛み
軽度の腫れ
関節の動きが制限されない
2 中等度の捻挫
中程度の痛み
目に見える腫れ
打撲による青あざ
関節の動きが制限される
体重をかけると痛みが増す
3 重度の捻挫
激しい痛み
大きな腫れと打撲
関節が不安定になる
体重をかけるのが困難
◎捻挫時の応急処置
捻挫をした場合、まずは適切な応急処置を行うことが重要です。
RICE処置
Rest(安静)
患部を安静に保ち、動かさないようにします。痛みが引くまで活動を控えましょう。
Ice(冷却)
患部に氷を当て、冷却します。1回20分程度、1日に数回行うと良いです。氷を直接肌に当てると凍傷のリスクがあるため、タオルなどで包んでから当てましょう。
Compression(圧迫)
弾性包帯などで患部を軽く圧迫します。これにより腫れを抑えることができます。ただし、きつく巻きすぎると血流が悪くなるので注意が必要です。
Elevation(挙上)
患部を心臓より高く上げます。これにより腫れを減少させる効果があります。
◎捻挫後の治療
応急処置をした後は、適切な治療とリハビリが必要です。ここでは、一般的な治療法とリハビリのポイントを紹介します。
医療機関での治療
捻挫が重度の場合や痛みが長引く場合は、医療機関を受診しましょう。
鎮痛剤の処方
痛みを和らげるためのお薬の処方。
理学療法(リハビリテーション)
リハビリテーション専門職の理学療法士によるリハビリ。関節の可動域を改善し、再発防止のための筋力トレーニングが行われます。
サポート器具の使用
場合によっては、サポーターなど使用して関節を安定させることが推奨されます。
◎自宅でのケア
軽度の捻挫の場合、自宅でのケアは効果が期待できます。
安静期間を守る
痛みが引くまで無理をしないことが重要。
アイシングの継続
初期の段階で冷却を続けると腫れを抑えることができます。
軽い運動
痛みが和らいできたら、軽いストレッチや関節の動きを促す運動を開始。ただし、無理をせず痛みが出たらすぐに中止すること。
◎捻挫の予防策
捻挫を防ぐためには、日常生活やスポーツの際にいくつかのポイントに注意することが大切です。
適切な靴の選び方
サポート力のある靴
足首をしっかりサポートする靴を選びましょう。特にスポーツをする場合は、適切なスポーツシューズを使用することが重要です。
滑りにくいソール
滑りにくいソールの靴を選ぶことで、転倒や捻挫のリスクを減らすことができます。
筋力強化とストレッチ
足首周りの筋力強化
足首周りの筋肉を強化することで、関節を安定させ、捻挫のリスクを減少させます。
柔軟性の向上
ストレッチを定期的に行い、関節や筋肉の柔軟性を保つことも重要です。
注意深い動作を意識
急な動きを避ける
急に方向を変えたり、無理な動きをすることは捻挫の原因となります。特に運動中や滑りやすい場所では注意が必要です。
段差や不安定な場所に注意
段差や不安定な場所を歩く際は、慎重に動くことが重要です。
まとめ
捻挫をした際には、まずは安静にし、適切な応急処置を行うことが重要です。その後、医療機関での診察やリハビリを受けることで、早期回復を目指しましょう。
また、日常からの予防策をしっかりと取り入れることで、捻挫のリスクを最小限に抑えることができます。
当院としては、症状が重度化する前になるべく早く対策をしてほしいと常々思っています。今の症状にお困りであれば、いつでもご相談ください。『早期改善と予防のために、「今」のあなたに必要な医療を提案』をモットーに、地域の皆様のサポートをさせていただきます。
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